おわりに

Conclusion

自己連想的に記憶を呼び起こすことができるようになった『ワタナベ』ですが、課題がまだ残っています。『考える脳考えるコンピューター』では、以下のように「知能(Intelligence)」を定義していました。

知能とは、記憶に基づく階層的なモデルを使って、予測することである。

今回時系列に沿ったモデルをもとに予測はできましたが、階層的なモデルではありません。これを再現しなければ「機械知能」を名乗れないと思い、アルゴリズムの名前は『機械知能ワタナベ(仮)』としました。

階層的なモデルをつくるには、複数のSP/TM層の出力を入力として、さらにSP/TM層で学習させれば良いと思うのですが... 。新皮質の仕組みをできる限り再現しようと思えば処理は並列におこなわなければなりません。(ラズパイで並列処理するとか?)

また、ホーキンスは「階層的一時記憶」は古いモデルであるとして、新たな新皮質モデルを提案しています。(『千の脳理論』)単純に層を重ねるだけでは新皮質を再現した階層的なモデルの構築は難しそうです。

まだまだ課題は尽きないですが、少しづつ『ワタナベ』をバージョンアップできればと思います。そうすればいつか『ワタナベ』は『ノルウェーの森』を聴いて過去の記憶を一瞬で全て思い出すことができるかもしれません。

最終更新